ガンは、たった一つのガン細胞が原因となって起こります。正常な細胞は一定の時期が来て役目を終えると自殺しますが、ガン細胞は自殺せずに、時問とともに分裂をくり返して増殖していきます
その際、ガンの患者さんの体からどんどん栄養を奪い取って、体を衰弱させていくのです。
ガンになった患者さんが次第に痩せていく過程をたどるのはこうしたことが原因です。
ガンの治癒を目指すためには、何が何でも早期発見が最も重要です。大きさが1~2cmぐらいの早期に発見できれば、治癒率(5年生存率を指す)はかなり高くなります。
もっと小さなうちに発見できればいいのですが、現在の検査で1cm未満のガンを発見することは困難です。例えば、大腸ガンや乳ガンの場合ガンが1 cmになるまでには、ガン細胞は約30回の細胞分裂をくり返していき、約15年もかかります。一方、この1cmのガンが2cmになるまでには、わずか3回の細胞分裂で、1~2年しかかかりません。
ですから、早期ガンを見つけることができる期問は、非常に限られているといえます。このことが、ガンの検診の基礎となります。実際、有効性が認められているガン検診のうち、胃ガン、肺ガン、大腸ガンについては、年1回の受診がすすめられています(子宮頸ガン、乳ガンについては2年に1回の受診)。ただし、すい臓ガンのように、腹部の奥にあり、検診で早期発見が困難なガンもあります。
とはいえ、定期的に検診を受けることが、命を救うカギとなることを忘れてはいけません。
すい臓ガンのように、腹部の奥にあり、検診で早期発見が困難なガンもあります。とはいえ、定期的に検診を受けることが、命を救うカギとなることを忘れてはいけません。
現在では、大きさが4cm以上の進行ガンになっても、医療の進歩によって、多くの人が治癒できるようになっています。ただし、ガンは再発や転移をすると治癒率が低くなるので、発見してからの最初の治療が肝心です。多くのガンは、治療後5年問再発しなければ、まずは安心と考えられています。
こうして5年以上生きた人の割合を5年生存率といい、ガンの場合、治癒率と同じ意味で用いられます。ただし、5年という数字に科学的な根拠はなく、一つの目安にすぎないことを知っておきましょう。
5年生存率は、ガンがどの臓器で最初にできたかによって大きく違ってきます。
乳ガン、前立腺ガン、子宮頸ガンは、大腸ガン、胃ガンは治りやすいガン。一方、肝臓ガン、肺ガン、食道ガン、すい臓ガンは残念ながら治りにくいガンとなっています。
しかし、治りにくい肝臓ガンや肺ガンでも、ステージ2 の人で5年生存率は40%以上です。どんなガンになっても決してあきらめずに、適切な治療を続けることが大切です。
ガンの治療法には、手術・放射線・抗ガン剤という三大治療のほかにも、さまざまなものがあります。ガンと告知されたら、いつまでも落ち込んでいてはいけません。できるだけ早くショックから立ち直り、ガンの状態をくわしく主治医に問きましょう。自分でも本やインターネットなどでガンに問する情報を収集して、自分のガンにふさわしい治療法を選択してください。まさに、ガンを治す主役はあなた自身なのです。そのさい、主治医だけでなく、セカンドオピニオン(二つめの意見)といって、別の医師の意見もしっかり聞くことをおすすめします。
日本では、これまで胃ガンが多かったため、治療法というと手術が第一にとらえられがちです。しかし、ガンを完治させるなら、手術だけでなく、放射線や抗ガン剤と併用させることが重要です。特に放射線は、ガン細胞のみをねらい打ちにすることができるので、ほかの正常な細胞や組織を傷つけることがなく、治療後の痛みもありません。今では通院治療も可能になっているため、仕事を続けながら治療でき、しかも治癒率は手術とほぼ同じです。
以上、ガンの予防や治療を受けるさいの大切な基本知識を述べました。最後に、ガンの予防や再発防止のために重要なのは、前にも述べたように、ガンのリスクを高める生活習慣を改善すること。上の表にある、世界的なガンの研究機問が発表した「ガン予防のために守りたいこと」と、定期検診を受けることを、ぜひ実行してください。
ガン予防たのために気を付けること。
標準体重を維持する
毎日運動する
砂糖入り飲料やカロリーの高い食べ物を避ける
野菜・果物を1日400g以上とる
加工食品はできるだけとらない
アルコールは適量
塩漬けの保存食は避ける
タバコは禁煙する
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